カフェ・マヤ物語
1991年春、グァテマラの山間部キチェ県で幻のコーヒー「カフェ・インディオ」を栽培するマヤの人々との出会いから始まった。先住民族であるマヤの人々は、時は政府軍との内戦が終結したばかりで、険しい山あいでコーヒーを循環農法で栽培し、一粒ずつ手摘みで収穫し、荷をラバで運んでいた。
それまでグァテマラという国やマヤの人々のことは美しい織物でしか知らなかったが、「私の名はリゴベルタ・メンチュー」という本で、マヤの人々の苛酷な歴史と、それにも負けない民族の誇りを知り、敬意を込めて店名を「カフエ・マヤ」とした。
当時、コーヒーは無農薬では出来ないというのが定説だったので、カフェ・マヤは話題になった。顔の見えるつながりでマヤの人々を紹介するために通信「ラ・カルタ」を発行した。
次第にオーガニックコーヒーがブームになりマヤの人々は生産者組合を作り、アメリカや欧州の大手と契約を結んだため、小規模の私たちには生豆が回って来なくなった。
これも時代の趨勢なので、今は企業からオーガニックの生豆を買っているが、マヤの人々への尊敬と共感は今も変わりなく、30年前に生産者のお客に泊めてもらった思い出が宝だ